雲は好きですか?

日常生活の色々な『雲と空』を撮っています…

雲フェチの写真教室~その2『絞り優先AEで撮影』

kumowasukidesuka.hatenablog.com

前回はカメラの撮影原理を理解しつつ、

撮影の基礎的な知識を共有いたしました。

カメラを知り撮影意図を明確にすることで、

撮影に自信が持てるようになりますし、

撮影自体も楽しくなるのではないでしょうか。

 

今回は私自身が普段の撮影で最も愛用している、

絞り優先AEについて解説いたします。

 

絞り優先AE

絞り優先AE任意の絞り値を設定すると、

カメラが自動でシャッター速度を選択してくれる。

例えば背景をボカした表現をしたい時

或いは写真全体を鮮明に写したい時に、

とても便利で使い易い撮影モードです。

 

~設定方法~

①モードダイヤルをAVに合わせる

f:id:kumowasukidesuka:20210117213628j:plain

②電子ダイヤルで絞り値を選択する

③シャッター速度を確認して撮影

 

ここでシャッター速度が撮影状況に合っているか

確認することが大切です。

 

日中の明るい撮影条件では、短い露光時間で撮影できますが、

早朝や夕暮れ時、屋内の暗い撮影条件では、露光時間が長くなるので、

シャッター速度は遅くなり手振れが生じて撮影困難になります。

そんな時はISO感度を上げたり、三脚を使う必要があります。

 

逆に明るすぎる撮影条件では、最も速いシャッター速度でも、

露出オーバーになってしまうことがあります。

ISO感度絞り値調整しきれない場合は、

減光(ND)フィルターを使うことにより、

適正露出の撮影が可能になります。

 

また撮影時の焦点距離も、撮影可否の判断材料になります。

次は焦点距離について解説いたします。

 

焦点距離

焦点距離の説明は、ネット検索などで詳細を知ることができるので、

この記事では割愛させていただきますが、

広角あるいは望遠の度合いを、数値で表したものと御理解ください。

レンズの型式では18-55mm55-200mm等と表記されます。

・この数値が小さいと、広角で風景や集合写真を広々と撮影できます。

・この数値が大きいと、望遠で遠くの被写体を拡大して撮影できます。

因みに35mm換算での焦点距離50mmは、

見たままの大きさを構図にする感覚です。

これは私見ですが、50mmより数値が小さいと広角で、

50mmより数値が大きいと、望遠であると考えております。

またセンサーサイズがAPS-Cである場合、

焦点距離の1.5倍が35mm換算の焦点距離となります。

以下の実写参考例では、35mm換算の焦点距離も表記しました。

 

f:id:kumowasukidesuka:20210119221635j:plain

焦点距離18mm(35mm換算で焦点距離27mm)

 

f:id:kumowasukidesuka:20210119221938j:plain

焦点距離32mm(35mm換算で焦点距離48mm)

 

f:id:kumowasukidesuka:20210119222253j:plain

焦点距離100mm(35mm換算で焦点距離150mm)

 

f:id:kumowasukidesuka:20210119222521j:plain

焦点距離190mm(35mm換算で焦点距離285mm)

 

先ほど撮影時の焦点距離も、撮影可否の判断材料になると書きましたが、

・例えば35mm換算での焦点距離28mmの場合、

 1/30秒よりも速いシャッター速度(1/50秒や1/60秒など)であれば、

 手振れを抑えて撮影できます。

・もう一つの例として35mm換算での焦点距離300mmの場合、

 1/320秒よりも速いシャッター速度(1/400秒や1/500秒など)であれば、

 手振れを抑えて撮影できます。

 

ここからも広角より望遠の方が、手振れの影響が出易く、

シャッター速度が遅いと、手振れしやすいことが分かります。

焦点距離からシャッター速度を判断するのは目安であり、

カメラを手持ちで撮影する場合は、シャッター速度に余裕をもたせるか、

三脚を使用して安定させると、手振れによる失敗を防ぐことができます。

 

~絞り値~

 絞り機構はレンズに組み込まれていることから、

レンズの型式から最大絞り値を知ることができます。

 

f:id:kumowasukidesuka:20210119210303j:plain

例えば CANON の標準ズームレンズで見ると、

EF-S 18-55mm 1:3.5-5.6 IS STM

太字で表記した部分が絞り値で、

焦点距離18mmでは、最大絞り値F3.5であり、

焦点距離55mmでは、最大絞り値F5.6であることを意味します。

このレンズの場合、

・広角側18mmであれば、絞り値はF3.5~22が設定範囲で、

・望遠側55mmであれば、絞り値はF5.6~36が設定範囲となります。

 

~絞りによる写真表現~

・絞りを開放(絞り値を小さく)すると、

 背景をボカして写すことができます。

・絞りを閉じる(絞り値を大きく)すると、

 写真全体を鮮明に写すことができます。

また広角レンズよりも、望遠レンズの方がボカし易く、

F値の小さい明るいレンズでもボカし易いです

 

f:id:kumowasukidesuka:20210119210516j:plain

AF-S NIKKOR 35mm 1:1.8G は、

単焦点特有の高解像度と発色の良さを併せ持ち、

F値の小さい明るいレンズでボカし易いです。

 

~絞り値と解像度~

絞り値は解像度にも関係しており、

一般的なレンズではF5.6~8の範囲が、

最も解像度が高いと云われております。

解像度は有効画素数を示すこともありますが、

ここでの解像度とは、画像の精細さを意味します。

これは私個人の解釈ですが、先ほど例に挙げたレンズであれば、

焦点距離18mmでは、F5.6~8の範囲が最も解像度が高い。

焦点距離55mmでは、F9~13の範囲が最も解像度が高い。

これが風景撮影で絞り値をF8を設定する根拠になっています。

また望遠で撮影する場合は、広角よりも数字上の絞り値は大きくなります

 

しかし実際の撮影では、F5.6~8の絞り値に拘り過ぎず、

あくまでも参考程度に考えていただければ良いと思います。

ただし絞り込み過ぎ絞りボケという画質の低下を招くので、

シャッター速度も遅くなりますし避けた方が無難です。

 

そうとは知らず私はフイルムカメラで絞りボケ写真を、

何百枚も撮ってしまった苦い経験があります…。

 

以上が絞り優先AEによる、撮影の解説となりますが、

絞り値はシャッター速度と比較して大雑把な区分であり、

好みの絞り値さえ選んでしまえば、

カメラが最適なシャッター速度を設定してくれるので、

少ない操作で撮影に集中できる点が気に入っております。

 

最後に今回の内容を振り返りながら、

ブログでも投稿した撮影結果を御覧いただきます。

失敗例もありますので参考にして下さい。

 

f:id:kumowasukidesuka:20210118203333j:plain

NIKON D300&AF-S NIKKOR 18-55mm 1:3.5-5.6G

(焦点距離18mm F8 2秒 ISO400 露出補正±0 )

夕焼け雲の撮影

・日没後の暗い撮影条件のため三脚を使用した。

・風があり雲の動きが激しいので、焦点距離18mmの広角でも、

 撮影結果に雲の動きが表れてしまった。

 

f:id:kumowasukidesuka:20210118203551j:plain

NIKON D300&AF-S NIKKOR 18-55mm 1:3.5-5.6G

(焦点距離18mm F8 4秒 ISO400 露出補正-2/3 )

夕焼け雲の撮影(失敗例①)

・上空の雲にカメラを向けると、シャッター速度は4秒になってしまった。

 背景の星は鮮明に撮れているのに、雲だけがブレているのが確認できる。

 

f:id:kumowasukidesuka:20210118203739j:plain

NIKON D300&AF-S NIKKOR 18-55mm 1:3.5-5.6G

(焦点距離34mm F8 5秒 ISO400 露出補正-2/3 )

夕焼け雲の撮影(失敗例②)

焦点距離18mmから望遠寄り34mmに拡大して撮影すると、

 更に雲のブレが大きくでてしまい、残念な撮影結果になってしまった。

 ここまでブレると無残としか云いようがない。

・エビに似た面白い雲は、絶好のブログネタだっただけに、

 余計悔しかった。

 まさか失敗例として使えるとは思わなかった(笑)

 

~失敗例①②の分析~

暗い撮影条件に合わせて三脚を使用した事や、

絞り値F8に設定したのは定石通りでしたが、

感度の選択ミスが敗着となりました。

雲を静止状態で撮る目的ならISO400は低すぎます。

多少画質が粗くなってもISO1600程度に上げれば

1秒よりは速いシャッター速度で撮影可能な状況でした。

 

f:id:kumowasukidesuka:20210118212754j:plain

NIKON D300&AF-S NIKKOR 35mm 1:1.8G

( 焦点距離35mm F2.5 1/4000秒 ISO200 露出補正±0 )

コスモスの撮影

単焦点35mm F値1.8の明るいレンズで撮影した。

・背景のコスモスが輪郭を失わない程度の絞り値を選択した。

・曇り気味の天候でもシャッター速度は1/4000秒なので、

 陽が出て明るくなると、露出オーバーになるような撮影条件。

 

f:id:kumowasukidesuka:20210118214507j:plain

NIKON D300&AF-S NIKKOR 35mm 1:1.8G

( 焦点距離35mm F8 1/640秒 ISO200 露出補正±0 )

ひまわりの撮影①

 

f:id:kumowasukidesuka:20210118214532j:plain

NIKON D300&AF-S NIKKOR 35mm 1:1.8G

( 焦点距離35mm F2.5 1/6400秒 ISO200 露出補正±0 )

ひまわりの撮影②

・ほぼ同じ構図と撮影条件で、絞り値を変えて撮影した。

・①は全体を鮮明に写す意図から、絞り値F8に設定、

 ②は背景をボカす意図から、絞り値F2.5に設定した。

・シャッター速度の違いにも、注目していただきたい。

 

f:id:kumowasukidesuka:20210118220104j:plain

NIKON D300&AF-S NIKKOR 18-55mm 1:3.5-5.6G

(焦点距離30mm F11 1/640秒 ISO200 露出補正±0 )

天使の梯子を撮影

・以前に別の撮影で、天使の梯子を撮影する最適な絞り値を、

 F8~16の範囲で小刻みに設定を変えて調べた結果、

 僅差でF11~13が、光の帯を鮮明に撮影できたことから、

 通常は風景撮影であれば、絞り値F8に設定するのだが、

 光の帯を撮影する場合は、絞り値F11に設定している。

 

次回は…

プログラムAEと、シャッター速度優先AEを取り上げます。

私自身は殆ど使った経験の無い撮影モードなので、

記事にできるのか正直なところ全く自信はありませんが、

皆様の参考になる内容に、纏めてみたいと考えております。

あまり期待しないで下さい(笑)

 

f:id:kumowasukidesuka:20210118232545j:plain

御訪問の皆様

今日も一日お疲れ様でした

 

佳い夜をお過ごし下さい