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前回はカメラの撮影原理を理解しつつ、
撮影の基礎的な知識を共有いたしました。
カメラを知り撮影意図を明確にすることで、
撮影に自信が持てるようになりますし、
撮影自体も楽しくなるのではないでしょうか。
今回は私自身が普段の撮影で最も愛用している、
絞り優先AEについて解説いたします。
~絞り優先AE~
絞り優先AEは任意の絞り値を設定すると、
カメラが自動でシャッター速度を選択してくれる。
例えば背景をボカした表現をしたい時、
或いは写真全体を鮮明に写したい時に、
とても便利で使い易い撮影モードです。
~設定方法~
①モードダイヤルをAVに合わせる
②電子ダイヤルで絞り値を選択する
③シャッター速度を確認して撮影
ここでシャッター速度が撮影状況に合っているか、
確認することが大切です。
日中の明るい撮影条件では、短い露光時間で撮影できますが、
早朝や夕暮れ時、屋内の暗い撮影条件では、露光時間が長くなるので、
シャッター速度は遅くなり、手振れが生じて撮影困難になります。
そんな時はISO感度を上げたり、三脚を使う必要があります。
逆に明るすぎる撮影条件では、最も速いシャッター速度でも、
露出オーバーになってしまうことがあります。
ISO感度と絞り値で調整しきれない場合は、
減光(ND)フィルターを使うことにより、
適正露出の撮影が可能になります。
また撮影時の焦点距離も、撮影可否の判断材料になります。
次は焦点距離について解説いたします。
~焦点距離~
焦点距離の説明は、ネット検索などで詳細を知ることができるので、
この記事では割愛させていただきますが、
広角あるいは望遠の度合いを、数値で表したものと御理解ください。
レンズの型式では18-55mmや55-200mm等と表記されます。
・この数値が小さいと、広角で風景や集合写真を広々と撮影できます。
・この数値が大きいと、望遠で遠くの被写体を拡大して撮影できます。
因みに35mm換算での焦点距離50mmは、
見たままの大きさを構図にする感覚です。
これは私見ですが、50mmより数値が小さいと広角で、
50mmより数値が大きいと、望遠であると考えております。
またセンサーサイズがAPS-Cである場合、
以下の実写参考例では、35mm換算の焦点距離も表記しました。
先ほど撮影時の焦点距離も、撮影可否の判断材料になると書きましたが、
・例えば35mm換算での焦点距離が28mmの場合、
1/30秒よりも速いシャッター速度(1/50秒や1/60秒など)であれば、
手振れを抑えて撮影できます。
・もう一つの例として35mm換算での焦点距離が300mmの場合、
1/320秒よりも速いシャッター速度(1/400秒や1/500秒など)であれば、
手振れを抑えて撮影できます。
ここからも広角より望遠の方が、手振れの影響が出易く、
シャッター速度が遅いと、手振れしやすいことが分かります。
焦点距離からシャッター速度を判断するのは目安であり、
カメラを手持ちで撮影する場合は、シャッター速度に余裕をもたせるか、
三脚を使用して安定させると、手振れによる失敗を防ぐことができます。
~絞り値~
絞り機構はレンズに組み込まれていることから、
レンズの型式から最大絞り値を知ることができます。
例えば CANON の標準ズームレンズで見ると、
EF-S 18-55mm 1:3.5-5.6 IS STM
太字で表記した部分が絞り値で、
・焦点距離18mmでは、最大絞り値F3.5であり、
・焦点距離55mmでは、最大絞り値F5.6であることを意味します。
このレンズの場合、
・広角側18mmであれば、絞り値はF3.5~22が設定範囲で、
・望遠側55mmであれば、絞り値はF5.6~36が設定範囲となります。
~絞りによる写真表現~
・絞りを開放(絞り値を小さく)すると、
背景をボカして写すことができます。
・絞りを閉じる(絞り値を大きく)すると、
写真全体を鮮明に写すことができます。
また広角レンズよりも、望遠レンズの方がボカし易く、
F値の小さい明るいレンズでもボカし易いです。
AF-S NIKKOR 35mm 1:1.8G は、
単焦点特有の高解像度と発色の良さを併せ持ち、
F値の小さい明るいレンズでボカし易いです。
~絞り値と解像度~
絞り値は解像度にも関係しており、
一般的なレンズではF5.6~8の範囲が、
最も解像度が高いと云われております。
解像度は有効画素数を示すこともありますが、
ここでの解像度とは、画像の精細さを意味します。
これは私個人の解釈ですが、先ほど例に挙げたレンズであれば、
・焦点距離18mmでは、F5.6~8の範囲が最も解像度が高い。
・焦点距離55mmでは、F9~13の範囲が最も解像度が高い。
これが風景撮影で絞り値をF8を設定する根拠になっています。
また望遠で撮影する場合は、広角よりも数字上の絞り値は大きくなります。
しかし実際の撮影では、F5.6~8の絞り値に拘り過ぎず、
あくまでも参考程度に考えていただければ良いと思います。
ただし絞り込み過ぎは絞りボケという画質の低下を招くので、
シャッター速度も遅くなりますし避けた方が無難です。
そうとは知らず私はフイルムカメラで絞りボケ写真を、
何百枚も撮ってしまった苦い経験があります…。
以上が絞り優先AEによる、撮影の解説となりますが、
絞り値はシャッター速度と比較して大雑把な区分であり、
好みの絞り値さえ選んでしまえば、
カメラが最適なシャッター速度を設定してくれるので、
少ない操作で撮影に集中できる点が気に入っております。
最後に今回の内容を振り返りながら、
ブログでも投稿した撮影結果を御覧いただきます。
失敗例もありますので参考にして下さい。
NIKON D300&AF-S NIKKOR 18-55mm 1:3.5-5.6G
(焦点距離18mm F8 2秒 ISO400 露出補正±0 )
夕焼け雲の撮影
・日没後の暗い撮影条件のため三脚を使用した。
・風があり雲の動きが激しいので、焦点距離18mmの広角でも、
撮影結果に雲の動きが表れてしまった。
NIKON D300&AF-S NIKKOR 18-55mm 1:3.5-5.6G
(焦点距離18mm F8 4秒 ISO400 露出補正-2/3 )
夕焼け雲の撮影(失敗例①)
・上空の雲にカメラを向けると、シャッター速度は4秒になってしまった。
背景の星は鮮明に撮れているのに、雲だけがブレているのが確認できる。
NIKON D300&AF-S NIKKOR 18-55mm 1:3.5-5.6G
(焦点距離34mm F8 5秒 ISO400 露出補正-2/3 )
夕焼け雲の撮影(失敗例②)
・焦点距離18mmから望遠寄り34mmに拡大して撮影すると、
更に雲のブレが大きくでてしまい、残念な撮影結果になってしまった。
ここまでブレると無残としか云いようがない。
・エビに似た面白い雲は、絶好のブログネタだっただけに、
余計悔しかった。
まさか失敗例として使えるとは思わなかった(笑)
~失敗例①②の分析~
暗い撮影条件に合わせて三脚を使用した事や、
絞り値F8に設定したのは定石通りでしたが、
感度の選択ミスが敗着となりました。
雲を静止状態で撮る目的ならISO400は低すぎます。
多少画質が粗くなってもISO1600程度に上げれば、
1秒よりは速いシャッター速度で撮影可能な状況でした。
NIKON D300&AF-S NIKKOR 35mm 1:1.8G
( 焦点距離35mm F2.5 1/4000秒 ISO200 露出補正±0 )
コスモスの撮影
・背景のコスモスが輪郭を失わない程度の絞り値を選択した。
・曇り気味の天候でもシャッター速度は1/4000秒なので、
陽が出て明るくなると、露出オーバーになるような撮影条件。
NIKON D300&AF-S NIKKOR 35mm 1:1.8G
( 焦点距離35mm F8 1/640秒 ISO200 露出補正±0 )
ひまわりの撮影①
NIKON D300&AF-S NIKKOR 35mm 1:1.8G
( 焦点距離35mm F2.5 1/6400秒 ISO200 露出補正±0 )
ひまわりの撮影②
・ほぼ同じ構図と撮影条件で、絞り値を変えて撮影した。
・①は全体を鮮明に写す意図から、絞り値F8に設定、
②は背景をボカす意図から、絞り値F2.5に設定した。
・シャッター速度の違いにも、注目していただきたい。
NIKON D300&AF-S NIKKOR 18-55mm 1:3.5-5.6G
(焦点距離30mm F11 1/640秒 ISO200 露出補正±0 )
天使の梯子を撮影
・以前に別の撮影で、天使の梯子を撮影する最適な絞り値を、
F8~16の範囲で小刻みに設定を変えて調べた結果、
僅差でF11~13が、光の帯を鮮明に撮影できたことから、
通常は風景撮影であれば、絞り値F8に設定するのだが、
光の帯を撮影する場合は、絞り値F11に設定している。
次回は…
プログラムAEと、シャッター速度優先AEを取り上げます。
私自身は殆ど使った経験の無い撮影モードなので、
記事にできるのか正直なところ全く自信はありませんが、
皆様の参考になる内容に、纏めてみたいと考えております。
あまり期待しないで下さい(笑)
御訪問の皆様
今日も一日お疲れ様でした
佳い夜をお過ごし下さい